徳島県の小島市にある『金長(きんちょう)神社』は、数々の映画のモデルにされてきた神社で、近年はスタジオジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』や『有頂天家族』のモデルにもなっていて、ファンの間では聖地となっています。
しかしそんな金長神社に今取り壊しの危機が迫っているんです!
残念ながらまだ現地に行くことができていないため、今回は境内の様子や御朱印などの画像はありませんが、この記事をきっかけに、多くの人に金長神社について知ってもらい、取り壊しを回避できることを願っています。
※今回のアイキャッチ画像はWikipediaからお借りしています。
金長神社の基本情報
- 御祭神:金長大明神(金長狸)
- 御神徳:勝負運・受験・商売繁盛・芸事・芸能・恋愛成就など
- 住 所:徳島県小松島市中田町脇谷
- 駐車場:なし
- 最寄り駅:南小松島駅から徒歩約20分
- 開門・閉門時間:不明
- 御朱印授与時間:不明
- 御朱印の初穂料:300円
- 公式サイト(金長神社を守る会):https://kinchodaimyojin.jimdofree.com
- 公式Facebookページ:なし
- 公式ツイッター:https://twitter.com/KinchoStrategy
金長神社の御由緒
金長神社でお祀りしているのは神様ではなく、民話などで伝わっている『阿波狸合戦』に登場し命を落としている『金長狸』なんです。
金長狸が死んでしまった後に、茂右衛門という人物が『金長大明神』と神格化して弔い、長期間屋敷の中でお祀りされる『屋敷神』として扱われていたのですが、1956(昭和31)年に、開運や商売繁盛の神様として、市営グラウンドの一部の土地を借りて移設し屋外でお祀りされるようになったそうです。
本宮は民間人によって建てられた
金長神社は芝山山上にある日峰神社に境内社扱いで本宮があります。
こちらの本宮は1939(昭和14年)に当時経営難に陥っていた「新興キネマ」という映画会社が、『阿波狸合戦』という映画のヒットを祈願したところヒットしたそうです。これを機に会社が持ち直したので、感謝の気持ちから建立されたそうですよ。
金長神社の御朱印・御朱印帳
金長神社には今まで御朱印がなかったのですが、2019年1月から御朱印の領布が始まりました。御朱印は通常のものと、期間限定の限定御朱印の2種類。
通常御朱印は近くの小松島地蔵寺で配布されていますが、特別御朱印に関しては金長神社で配布されていることも。
限定御朱印情報に関してはTwitterアカウントや、金長神社を守る会の公式ブログで確認することができます。公式ブログでは画像つきで公開されているのでチェック必須ですね!
金長神社がモデルになっている作品
金長神社がモデルになっていたり、作品中に登場するのはアニメや漫画だけではありません!
過去に金長神社がモデルになっている作品を調べてみました。
・阿波狸合戦(1939/昭和14年):徳島の民話で伝わっている「泡狸合戦」がモデルだといわれています。
・腹鼓記(1985年):「ひょっこりひょうたん島」の小説家井上ひさしさんの作品。
・平成狸合戦ぽんぽこ(1994年):
スタジオジブリの人気作品。この作品で監督を務めた高畑勲監督は、2018年に亡くなられています。
・オペレッタ狸御殿(2005年):オダギリジョーさん、チャンツィイーさん主演のミュージカル作品で、第58回(2005年)カンヌ国際映画祭の特別招待作品です。
・姫さま狸の恋算用(2013~16年):
水瀬マユさんの漫画作品、全9巻。
・狸御殿(2016年):宮本亜門さん、尾上松也さんのミュージカル作品。第1作は1939(昭和14)年に公開されていますが、その後何度もリメイクされています。
・有頂天家族2(2017年):
森見登美彦さんの小説が原作で、2017年に放送されたアニメ第11話に登場。
・神様の御用人:
浅葉なつさんによる小説で、2018年11月現在で8巻まで発行されています。2015年にはユキムラさんの作画で漫画作品も連載が開始、こちらは2018年12月現在4巻まで発行されています。
・狐狸の花盗り:
朱子すずさんの漫画作品で、最終巻の3巻が2019年1月24日に発売されています。
まだまだ調べきれていない、金長神社がモデルになっている作品もあると思いますが、調べてみるとこんなにも金長神社がモデルになっていたり、登場している作品があるのにびっくりです。
徳島県小松島市により取り壊しが計画されている?
アニメや映画などさまざまな作品のモデルにもなり、地域の人々に愛されている金長神社ですが、実は今存続の危機に陥っているんです。
もともと宗教法人が建てた神社ではない、ということも大きいのかもしれませんが、隣接している市営グラウンド整備により取り壊しになるという話が持ち上がっているんです!
どうして移設ではなく取り壊しなのか?
神社庁が管理している神社や、宗教法人関係の建物だといきなり取り壊しではなく、まず移設を考えるものだと思うのですが、金長神社に関しては取り壊しの方向で市のほうが考えているという話がありました。
市営グラウンドの拡張をするのであれば、グラウンド内にそのまま残せばいいのでは?と思ったのですが、法律的な問題でそれも無理なようなんですね。
そもそも今現在金長神社がある土地は、金長神社を管理している「金長奉賛会」が「借りている」土地なんです。さらに当初グラウンド拡張、という話だったのがここにきて「防災公園に拡大整備」という計画が持ち上がっており、一度グラウンドを含めた周辺の土地を更地にして整備するという話も持ちあがっているそうなんです。
奉賛会の方と市での話し合いは平行線で進展が全くないという話もあります。整備中に他に一時的に移設して戻せば、と考える人は多いでしょう。私もそう思っていたのですが、「都市公園法」なる法律で、記念碑なら防災公園内に設置可能なのに、神社そのものを設置することは認められていないそうなんです。
アニメや映画のファンの聖地にもなっている金長神社は、徳島の観光名所にもなっているため、市としては「観光資源」として残したいという考えもあるようですが……。
金長神社を守る会
地元の方々も黙っているわけではありません。2018年12月28日には、Facebook上にて、「金長神社を守る会(仮)」が発足。その後名称を「金長神社を守る会」に改名し、2019年12月現在はFacebookだけでなく、Twitterやblogを通して、全国の方々へ情報を発信しています。
金長神社の紹介だけでなく、署名を集めて市長や市議会議長へ集めた署名を提出、ノボリの配布など、神社存続のためにできるだけのことを行っています。毎月第一日曜の朝には、金長神社へお礼の気持ちを込めて、ボランティアで神社のお掃除などもしているんですよ。
署名活動はオンラインで行っている!
金長神社存続のための署名は、「change.org」という署名サイトで集めています。署名をしたいという方は、こちらのリンクから署名ページに行くことができます。

アーティストやオカルト評論家も応援している!
金長神社の存続を願って応援しているのは、地域の方々だけではありません。
オカルト評論家で有名な山口敏太郎氏も、金長神社存続のためにYouTubeで紹介したり、現地調査を行った上で地蔵寺にて講演会を行っていました。
過去にはクリエイターの支援を行っている「ファンティア」で2016年から配信されているボイスドラマ「鬼っ子ハンターついなちゃん」の第22話で、「金長神社を救え! 当世・阿波狸合戦!!の巻」というお話しがあります。さらにコラボCMの動画まであるんです!
また個人で金長神社を応援する歌をボーカロイドを使って作成し、YouTubeにUPしている人もいます。
取り壊しが持ち上がってから怪奇現象が起こっている?
山口敏太郎氏が金長神社を守る会のメンバーの方にお話しを聞いたところ、60年現地に住んでいる方の中には今まで狸の姿を見ることがなかったのに、取り壊しの件が持ち上がってから、街中に狸の姿を見るようになったという方もいるそうです。
そして車に轢かれて死んでしまう狸も後が絶たないという話もあったようですよ。
また山口敏太郎氏が現地調査を行った際に、地元小松市のケーブルテレビに所属するカメラマンが同行したのですが、自宅近くの狸の像がウインクしたのを見た、という話もあります。
金長神社が存続できることを願っています
宗教法人ではなく有志で建てた金長神社ですが、地元では小学校の写生会などにも利用され、モデルになったアニメや映画などのファンの聖地となっているものの、現在所有者がはっきりしないことも、取り壊しに大きな影響を与えているのではないでしょうか。
本殿は別にあるとはいえ、現在の場所も地元の方にとってはなじみ深く癒しを与えてくれるスポットになっています。
移設やモニュメント的なものの建立も視野にいれて、何とか市と金長神社を守る会との落としどころが見つかって、存続できれば良いですね。